Parent Information
- 01
「Tiny Baby Collaborative」は、「特に小さな早産児を治療する研究グループ」を意味し、具体的には在胎24週未満の早産児の治療を多く経験している医師たちによって設立された国際的な組織です。次の2つを目標として活動しています。
早産児の治療経験が豊富な病院間でその経験知識を共有すること。
早産児とその家族のために、より良い治療を追求し提供すること。
- 02
「Tiny Baby Collaborative」は、参加メンバー間での知識の共有を通じて、在胎24週未満の早産児の予後を改善するために取り組んでいます。より普遍的に、より良い治療を提供できるように、グループ内の病院で情報を共有しています。
- 03
「マイクロプレミー」という言葉は正式な医学用語ではありませんが、特に小さな早産児を表す場合に使用されます。
早産児あるいは低出生体重児は出生体重と在胎期間で分類されます。「超低出生体重児」とは、出生体重1000グラム(2ポンド3オンス)未満の児を指します。「超度早産」とは、通常妊娠期間が約40週間ですが、妊娠28週未満で生まれた早産児を指します。この用語は今のように新生児医療が発達していない1970年代に定義されたものですが、当時は、「超度早産」が生存することは稀で想定していませんでした。
「Tiny Baby Collaborative」が取り組んでいるのは、在胎24週未満で生まれた特に小さな早産児です。世界中の多くの病院では、最近までこの時期に出生した早産児を救命することは困難でした。しかし、近年は周産期医療の進歩により専門的な治療を実施することで、在胎24週未満の早産児であっても、多数の児を救命することが可能になってきたことが報告されています。
- 04
早産には多くの異なる原因がありますが、次の3つに分類することが可能です。
第1に、最も一般的なのものとして、陣痛が早く始まる場合です。これは感染症がある場合、子宮頸部が早く開大する場合などがあります。しかし、多くの場合、原因を特定することは困難です。
第2に、母体の健康維持のために産科医が早期出産を勧める場合です(例えば、母体の高血圧がコントロールできない場合など)。
第3に、胎児が子宮内で十分に成長せず、医学的に子宮内より子宮外の方が児にとってより生存の可能性が高い場合、人工的に分娩を選択することがあります。ただし、この理由での早産は妊娠24週未満では非常にまれと言えます。
- 05
児の妊娠期間が短い程、体重は軽く、全身の臓器機能も未熟になります。そのため、専用の医療機器を使用する必要があり、すべての治療面でより緻密な管理が要求されます。
在胎24週未満で生まれた早産児で特に認める2つの重要な違いは、肺の未熟性と薄く透明で脆弱な皮膚です。肺が未熟なため、通常と異なる人工呼吸器が必要になったり、また呼吸器を異なる方法で使用することもあります。また、皮膚成熟度および出生体重に応じて、児の体温維持のために特別な注意を払います。また、身体の水分バランスを正確に保ち、脱水状態を防ぎます。さらに、脆弱な皮膚を損傷しないようにする対策が必要です。
- 06
早産児の生存率は妊娠期間によって異なり、また病院間でも異なります。ただし、経時的に徐々に改善していると言えます。在胎20週で出生した児では生存例は報告されていません。在胎21週の児ではわずか数例ですが生存例が報告されています。
「Tiny Baby Collaborative」に設立時から参加している病院では、在胎22週の早産児では50%以上、23週では70%以上の生存率を報告しています。ただし、他の病院では生存率は大きく異なり、低くなります。また、医療資源の少ない発展途上の国々では、この時期に出生した早産児が生存することは期待されていません。
在胎24週未満で出生した早産児の長期的な健康に関する情報は非常に少なく、限られた研究報告によると、生存者の3分の2以上が2〜3歳で重度の障害を認めなかったと報告されています。つまり、話すことや歩くことでき、通常の学校に通うことができるということです。臨床的な経験に基づけば、大多数の子ども達が良い状態で生活を送っていると考えられます。
- 07
在胎24週未満の早産児は、入院した最初の数週間は、脳、肺、腸、目、心臓に関係する重篤な合併症のリスクがあります。幸い、これらの合併症の多くは治療可能ですが、一部は長期的な健康障害や死亡につながる可能性があります。
退院後、児は発達の遅れ、筋力の低下や協調運動の障害、酸素投与や薬剤使用の必要性、学校での追加支援の必要性など、種々な問題で継続的なサポートが必要になることもあります。
- 08
退院後のフォローアップは、それぞれの児のニーズに応じて計画されます。一部の児では通常の小児医療と正常発達の確認のみで済むこともあります。一方、一部の児では、複数の専門医療分野の診療および医学的支援が必要な場合があります。
一般的に在胎24週未満の早産児は、退院後も肺の発育が十分でなく、幼児期に呼吸器ウイルスに感染しやすく、一度感染するとより重篤な症状になりやすい傾向があります。
